ドストエフスキーは後に、彼の傑作小説『白痴』で主人公のムイシュキン侯爵にその時の体験を語らせています。 その中に、先ほどユゴーの文章にあった「彼らは肉体をほとんど苦しめないで殺すことができると勝ち誇っている。おやおや!問題なのはそんなことか!精神の苦痛に比べれば肉体の苦痛など、いったいどれほどのことか!」という言葉に応答するような箇所も出てきます。 『死刑囚最後の日』の影響はドストエフスキーが自身の体験を文学に昇華させるひとつのきっかけになったのではないでしょうか。 死刑によって「確実にあと数分で死ぬ」という極限の状況に置かれた人間が何を思うのか。これは非常に重いテーマでありますが、私たちに大切なことを考えさせてくれる作品であります。 作品自体もそこまで長いものではないので手に取りやすいものとなっています。 死刑問題に関心のある方にとっても重要な書物となるのではないでしょうか。 以上、「ユゴー『死刑囚最後の日』死刑反対への思いを託した小説」でした。 関連記事
ホーム > 電子書籍 > 教養文庫・新書・選書 内容説明 「死刑囚! いつもひとりでこの想念に耐え、それが消えないせいでいつも凍え、その重みにいつも打ちひしがれている!」刻々と迫るギロチン刑の時。独房での日々から断頭台に上がる直前まで、主人公は自らの胸の内を赤裸々に告白する。死刑制度廃止を訴え、若い情熱で書きあげたユゴー27歳の作品。主題の重み、技法の革新性、社会的影響の点で刮目すべき作品であり、ユゴーの代表作のひとつと見なされる画期的小説。
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内容(「BOOK」データベースより) 「死刑囚! いつもひとりでこの想念に耐え、それが消えないせいでいつも凍え、その重みにいつも打ちひしがれている! 」刻々と迫るギロチン刑の時。独房での日々から断頭台に上がる直前まで、主人公は自らの胸の内を赤裸々に告白する。死刑制度廃止を訴えたユゴー27歳の小説。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) ユゴー, ヴィクトル 1802‐1885。フランスの作家・詩人。父はナポレオン軍の将校。ブザンソン生まれ。兄とともに入った寄宿舎で文学に目覚めて詩作や劇作を始め、17歳のとき兄と文芸誌を創刊。20歳で出した初めての詩集が評価され国王から年金を賜る。その後小説、戯曲にとロマン派の旗手として目覚ましい活躍を始める。39歳でアカデミー・フランセーズ会員に選出。1848年第二共和政成立で議員に選出される。60歳のとき『レ・ミゼラブル』で大成功を収める。'85年パリで死去、国葬に付された。小説、詩集で数多くの作品を遺した 小倉/孝誠 慶應義塾大学教授。フランス文学者。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
結局最後までどんな罪を犯したかは明かされないまま。 自分が置かれている立場への怒りや哀しみとどうせ恩赦なんてないんだっていう諦観が グルグルと綴られている。 たしかに彼の独白を読んでいると、なんて不寛容な社会なのかと憤りも感じる。 いくら娯楽がないからって、死刑の場がお祭り騒ぎになってる市民の感覚も異常に感じるし。 特に愛娘と面会するシーンはちょっと切なかった。 愛娘が将来成長した時に読んでくれるように・・・という部分は特に心に響いた。 しかし、彼が犯した罪が明かされないと常に「?? ?」という感覚がつきまとってしまう。 この時代の裁判制度も知らないが、生まれが泥まみれなら窃盗から強盗殺人と延々正しいルートに 乗れない社会だということがそもそも問題なのでは、という風に感じた。
カテゴリ:高校生 一般 発行年月:1982.6 出版社: 岩波書店 レーベル: 岩波文庫 サイズ:15cm/169p 利用対象:高校生 一般 ISBN:4-00-325318-3 文庫 紙の本 死刑囚最後の日 改版 (岩波文庫) 税込 572 円 5 pt あわせて読みたい本 この商品に興味のある人は、こんな商品にも興味があります。 前へ戻る 対象はありません 次に進む このセットに含まれる商品 この著者・アーティストの他の商品 みんなのレビュー ( 15件 ) みんなの評価 3. 8 評価内訳 星 5 ( 4件) 星 4 星 3 星 2 ( 1件) 星 1 (0件) 並び順を変更する 役に立った順 投稿日の新しい順 評価の高い順 評価の低い順 死刑囚最後の日 2001/09/24 17:36 3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。 投稿者: ゲップ6号 - この投稿者のレビュー一覧を見る フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの作品。題名のとうり死刑囚がみずからの境遇を死の直前まで書き綴ったという設定になっている。その当時では画期的な作品であり死刑の廃止に大いに貢献したことでも有名。さすがフランスの文豪の作品、安定感があり、安心して読める。 Copyright © Dai Nippon Printing Co., Ltd. × hontoからおトクな情報をお届けします! 割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。 キャンセル 通知設定に進む
喘ぐような息づかい 押しつぶされるような絶望感 物語 「死刑囚! いつもひとりでこの想念に耐え、それが消えないせいでいつも凍え、その重みにいつも打ちひしがれている!」刻々と迫るギロチン刑の時。独房での日々から断頭台に上がる直前まで、主人公は自らの胸の内を赤裸々に告白する。死刑制度廃止を訴えたユゴー27歳の小説。 内容 わずか三週間で、なかば熱病に取り憑かれたような状態で、一気呵成に書きあげた本書は、ユゴーの小説としては最も短いもののひとつだが、そこで語られている主題の重み、技法の革新性、社会的な影響の点で刮目すべき作品である。彼の代表作のひとつと見なされていいだろう。 訳者あとがき 本書巻末の「訳者あとがき」をすべてお読みいただけます。 PDFファイル(334kb)